法律Q&A

法律Q&A

登録商標の使用に該当しない商標の使用(商標的使用を肯定した事例を含む)

1.  

他人の商標を無断で使用した場合、使用の態様がどのようなものであっても商標権侵害となるのでしょうか。
実際の事件でお尋ねしますと、例えば、登録商標が上部に「POPEYE」下部に「ポパイ」の文字が付されていて、その中央部にポパイの漫画の主人公の絵が描かれたものであったとして(指定商品は被服とします。)、他人が無断で、商標と同一または類似の主人公の絵柄を胸部全面に大きく描かれた、また、その絵の周辺に「POPEYE」または「ポパイ」の文字を付した幼児用アンダーシャツを販売する行為は、商標権の侵害行為に該当しますか。
 

他人の商標と同一または類似の絵柄などを無断で使用したとしても、その全てが商標権侵害になるわけではありません。なぜなら、わが国の商標法は、他人の商標の使用のうち、その使用が自他商品等識別機能または出所表示機能を生じさせるもののみを「商標的使用」として商標権侵害としているからです。
 上記具体例では、幼児用アンダーシャツは漫画の主人公と付随する文字で構成されており、当該商標を構成する重要な要素を具備しています。しかし、その使用の態様を見ると、それは自他商品等識別機能または出所表示機能を生じさせるものではなく、幼児用アンダーシャツのデザインまたは装飾として使用されているに過ぎません。いわば装飾的機能を果たしているに過ぎないのです。従って、そのような態様の商標の使用は、「商標的使用」には該当せず商標権の侵害行為には該当しないのです。

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2.  

段ボールの側面の見やすい位置に大きく「巨峰」や「KYOHO」の文字を記載して段ボールを製造および販売する行為は商標上問題となりますか(指定商品は包装用容器とします。)。

段ボールの「内容物」であるぶどうの品種「巨峰」を表示するために印刷したものであると認められる場合は、その使用は「商標的使用」ではなく商標権侵害とはならない。

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3.  

「つゆ」「だし」の商品に「タカラ本みりん入り」と表示をすることは、他人が保有する一連の登録商標「タカラ」「宝」および「TAKARA」の商標権を侵害しますか。

「タカラ本みりん入り」の表示部分は、「つゆ」「だし」に、タカラ本みりんが「原材料」として入っていることを示すもので、商標的使用とはいえず、商標権を侵害しません。

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4.  

「QuickLook」というコンピューターOS商品中の表示は、ファイルを開かずにファイルの内容をプレビューできるところに機能がありますが、その表示は他人が保有する「QuickLook」という登録商標の商標権を侵害しますか。

プレビュー表示機能として表示しているものであって、自他商品等識別機能を果たす態様での使用ではありませんので、商標権侵害にはなりません。

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5.  

メタタグは、ホームページの内容を記述したHTMLコードであり、検索エンジンが検索対象とする記述ですが、検索頻度が高い登録商標を書き込んでおけば、当該メタタグ自体はホームページ上には現れませんが、検索エンジンがその記述を検索して、自分のホームページへ誘導する可能性が高まります。このような他人の登録商標の使用は商標権侵害に該当しますか。

自分のホームページに表示されない登録商標であっても、検索エンジンは検索の対象とし得ますから、その登録商標の記述は出所表示機能を生じさせるもので、商標権を侵害します。

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