法律Q&A
不正競争防止法
商品等主体混同行為(1号)について1
- 1. 商品等主体混同行為について
不正競争防止法(以下「不競法」といいます。)2条1項1号の商品等主体混同行為とは何でしょうか。またそれに該当するとどうなるのでしょうか。
他人の周知な商品表示・営業表示と同一又は類似のものを使用するなどして、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為をいいます。
商品等主体混同行為は不正競争の一類型で、これに該当すると、差止請求や損害賠償請求ができることになります(不競法3条及び4条)。- より詳細な解説はこちら
- 2. 商品等表示について
不競法で保護される商品表示・営業表示には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
不競法2条1項1号は商品等表示として「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品を表示するもの」を例示しています。略称や雅号やペンネーム、グループ名や店名、未登録の商標やサービスマークも含まれ、その他、立体的形状、影像及びその変化の態様、ドメイン名、タイプフェイス(書体)、書籍の題号及び番組・映画タイトル等があります。ただ、不競法で保護されるためには、これらが表示として他人と識別されるものであることや、周知性を有していることが必要となります。
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- 3. 周知性について
私は「天一」という名前で天ぷら料理の専門店を営んでおり、東京を中心に多数店舗を有しています。最近、群馬県で同じ名前の天ぷら料理専門店が開店したのですが、この群馬県の相手方に対し「天一」という営業表示の使用差止を請求できますでしょうか。
「天一」が日本全国に知られている必要はありませんが、群馬県で広く知られている必要があります。あなたが、群馬県でも「天一」という名前をテレビやラジオなどで宣伝しているのでもない限り、相手方の群馬県での使用に対し、差止請求は難しいでしょう。
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- 4. 類似性について
当社は「ヨドバシカメラ」という店名を商標登録し、電化製品販売業を営んでいます。最近、「ヨドバシポルノ」「ヨドバシ百貨店」という店を見つけたのですが、当社の営業表示と類似といえますでしょうか。
御社の「ヨドバシカメラ」という営業表示が広く認識される過程で、これに伴う企業イメージによっては、「ポルノ」と「百貨店」の部分が異なりますが、類似の関係にあるといえる場合もあります。
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商品等主体混同行為(1号)について2
- 1. 商品等表示該当性
当社は、数年前から、半透明の素材を用いてツートンカラーにした画面が曲線となっている携帯電話機を単独で製造・販売していました。おかげさまで多くの全国ネットのテレビや雑誌に紹介されて話題になっています。ところで、不正競争防止法2条1項1号では、商品の形態も保護されると聞きました。当社の携帯電話機の形態も保護されますか。
商品の形態が他とは特別異なる特徴を持ち、かつ、その形態を長期間独占的に使用したとか、極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等があるということで、需要者の多くがその形態を持つ商品が特定の会社からのものだと認識しているのなら、不正競争防止法上保護されます。今回の貴社の携帯電話機は、貴社が長期間独占的に使用しているとはいえないものの、デザインの特異性や宣伝広告等から保護される可能性があります。
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- 2. 周知性の立証
周知性の主張や立証はどのように行えば良いのでしょうか。
表示それ自体の有様、商品や営業の内容・規模の大小・取引の形態、商品・営業の種類、表示の使用期間と使用方法、宣伝広告、第三者等の記事、アンケート調査を根拠として、総合的に周知性の主張や立証を行うことになります。
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- 3. 先使用の抗弁
私は、「△〇有限会社」として、昭和の初め頃から京都府下で営業を続けてきました。ところが、最近になって、東京で有名な「△〇株式会社」が京都府での営業を開始し、京都府下でも有名となりました。そこで、この会社は、当社に対し、「△〇」の使用禁止を請求してきました。このような請求は認められるのでしょうか。
あなたの会社が京都府下において長年にわたって「△〇」を使用して営業してきたという、「先使用の抗弁」を主張するのであれば、質問にあるような請求は認められない可能性があります。
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営業秘密について
- 1. 営業秘密の保護について
昨今、技術上又は営業上の情報の漏洩が問題になっていますが、これらの情報は法律上どのように保護されていますか。
会社法等によって、会社役員等には競業避止義務が課されています。また、従業員やライセンシーとの間で秘密保持契約や競業避止契約等を締結して法的な保護を受けることも可能です。更に、情報の取得が不法行為に該当する場合には、民法709条によって、被った損害の賠償請求することもできます。
しかし、これらの保護は限定的で不十分であるため、一定の要件を満たした場合には、不競法によって保護を受けることができます。- より詳細な解説はこちら
- 2. 保護されるための要件
不競法によって保護される技術上又は営業上の情報(営業秘密)とは、どのようなものですか。
不競法によって保護されるためには、①秘密として管理されていること(秘密管理性)、②事業活動に有用な技術上、営業上の情報であること(有用性)、③公然と知られていないこと(非公知性)の三要件を満たす必要があります。
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- 3. 営業秘密の管理方法
弊社の業務は、一定の年齢の児童がいる家庭をターゲットにしているため、このような家庭に関する顧客情報を多数保有しています。万一の漏洩に備え、どのような点に注意してこれらの情報を管理していくべきでしょうか。
まずは、当該顧客情報にアクセスした人が、貴社の営業秘密であることを認識できるようにする必要があります。例えば、文書であれば「部外秘」「秘」といった表示を付する、保管場所を特定し施錠する、閲覧・複製の手続きを厳格化する、使用済みの文書等の廃棄方法等を特定する、等の方法を複数組み合わせることが重要です。
次に、情報にアクセスできる人間を必要最小限度に制限する必要があります。併せて、これらの人物を適切に管理するため、社内における労務管理体制を確立したり、従業員に対する教育・研修等を行う必要があります。誓約書等を提出させて守秘義務を負担させることも有効です。- より詳細な解説はこちら
- 4. 営業秘密の不正取得
A社では、顧客情報をコンピュータで管理しており、当該顧客情報にアクセスできる人物を限定するとともに、当該人物にパスワードを交付する等の方法によって、顧客情報を厳格に管理していますが、A社の従業員が、権限がなかったのにもかかわらず、社内の顧客情報を無断で持ち出し、名簿業者であるB社に売却していたようです。
私は、調査の結果、B社は不正行為を行わない信頼できる会社であると判断したため、B社からA社の顧客情報を購入して利用しました。
ところが、後日、報道等を通じて私が購入した顧客情報は、A社の従業員が上記のように不正に取得した情報であることを知りました。
私はその後もその情報を使用し続けているのですが、このような行為は、不競法に違反するのでしょうか。
もし、違反しているのであれば、私は、A社等からどのような請求を受ける可能性がありますか。そもそも、A社の従業員がA社の顧客情報を取得した行為は、営業秘密の不正取得行為に該当します。
あなたは、顧客情報を取得した時点では、当該不正取得行為を知らなかったようですが、不正取得行為が介在したことを知ってからの顧客情報の利用は不競法に違反します。
そのため、A社は、あなたに対して損害賠償や顧客情報の使用の差止めを請求する可能性があります。また、あなたは刑事罰を受ける可能性があります。- より詳細な解説はこちら
ライセンシーからみたノウハウ・ライセンス契約
- 1.
ノウハウはどのように法的に保護されるのでしょうか。
有用な技術情報は、秘密性があって秘密管理されていれば、不正競争防止法によって「営業の秘密」として保護されます。物権と同様の排他的な保護を受けますので、侵害行為に対しては、損害賠償請求だけでなく、差止請求をすることも可能です。 ノウハウがライセンス契約の対象である場合は、契約上の保護を受けます。契約上のノウハウの保護範囲は、契約条項の内容によって決まりますが、一般的には、必ずしも不正競争防止法上の「営業の秘密」と同一ではありません。秘密性や秘密管理の要件を充たさない場合でも、契約当事者間では債権的な義務を課すことが可能です。
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- 2.
ライセンス契約においては、ノウハウの範囲はどのように特定したらよいでしょうか。ノウハウの特定は何故重要なのですか。
ライセンス契約の対象であるノウハウは、契約の定義条項で特定されることが多いようです。定義条項に「別紙記載のとおり」と記載されている場合は、別紙の内容を確認する必要があります。もっとも、別紙にも単に「当該システムに関する一切のノウハウ」などと抽象的な記載しかなされていない場合、ノウハウの内容の特定としては不十分です。できるだけノウハウの内容を具体的に記載するよう心がけましょう。特に、ライセンスを受ける側、すなわちライセンシーは注意を要します。提供を受けていないノウハウにもかかわらず、後日、ライセンサーからライセンス契約の対象であったと主張される可能性があるからです。
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- 3.
ライセンス契約が終了した場合、将来の競業に関して、ライセンシーに、「契約終了後X年間は、市場で競争関係に立つ同種のシステムを開発したり、販売したりしてはならない」といういわゆる競争禁止規定がおかれていることがあります。 どのように対応すればいいのでしょうか。
ライセンス契約が終了すれば、ライセンシーは、それ以後、ノウハウを利用することはできなくなりますので、ライセンサーとしてはあえて競争禁止にする必要性がないともいえます。しかし、実際にライセンサーが提供したノウハウが終了後も無断で利用されている事実は外からはなかなか把握しにくいところがあります。 そこで、ライセンサーは、ノウハウが無断利用されていないことを確実なものにするために、予防的にこのような条項を入れるのです。
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信用毀損行為(営業誹謗行為)について
- 1. 信用毀損行為(営業誹謗行為)とは
競争会社を誹謗する行為が不正競争行為に該当する場合があると聞きました。どのような場合が、それにあたるのですか?
競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為が、不正競争行為にあたります(2条1項14号)。
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- 2. 警告書の送付と信用毀損行為
当社と競争関係にあるA社が、当社が保有する特許権を侵害して製造された商品を製造・販売していることが分かりました。A社に警告書を送付する予定ですが、A社の取引先にもA社が特許権侵害をしている旨を通知しようと思いますが、問題はありませんか?
万一、特許権の侵害が認められなかった場合や、特許権が無効とされた場合などには、信用毀損行為に該当する可能性がありますので、事前に慎重に検討しておくことが必要です。
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- 3. 比較広告と信用毀損行為
当社と競争関係にあるB社の製品と当社の製品の性能を比較した一覧表を作成して広告にのせ、営業に回ろうと考えていますが、注意すべき点はありますか?
比較広告については、その内容に虚偽の事実が含まれる場合には、不正競争行為(信用毀損行為)になるおそれがあります。また、景表法94条1項は、商品の内容や取引条件について、競争者よりも著しく優良又は有利であると消費者に誤認させる表示を不当表示として規制していますので、この点にも留意が必要です。
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- 4. 信用回復措置
当社と競争関係にあるC社が、当社の製品について欠陥があるとの記載を含む文書を、取引先に配布して営業に回っているようなのですが、その事実は誤解に基づくもので事実ではありません。
当社としては、こうした行為をやめさせたいと思っていますが、C社にどのような請求をすることができますか?その行為の停止を請求することができ、これにより損害が生じている場合には、賠償を請求することができます。また、その信用を回復するのに必要な措置を求めることができます。
けうる。- より詳細な解説はこちら