法律Q&A
賃貸借
- 不動産貸借の種類・態様
- 契約締結段階
- 敷金、保証金、礼金、権利金等
- 定期借地権
- 定期借家権
- 賃料増減額請求
- 借地条件の変更、借地上建物の増改築など
- 賃借権の譲渡・転貸について
- 建物の修繕
- 用法遵守義務違反
- 賃料不払い
- 建物賃貸借契約終了一般
- 土地賃貸借契約終了一般
- 賃貸借契約の更新
- 原状回復義務
- 貸主の交代
- 地震と賃貸借
不動産貸借の種類・態様
- 1. 使用貸借か賃貸借か
親から相続したマンション一戸を固定資産税とマンション管理費を負担させて、親戚の学生に、大学卒業まで使わせています。卒業したら無条件で明け渡してもらえるでしょうか。
建物(ないしその一部)を貸借する場合、無償で貸す場合を使用貸借、有償の場合を賃貸借と言います。無償と言っても、一切の対価を受け取らないという場合に限定されず、固定資産税やマンション管理費などの実費を借主に負担させるにとどまる場合は、使用貸借であると考えられますので、本問は使用貸借といえます。
使用貸借の場合、期間の定めがなくても、契約に定めた目的にしたがった使用収益が終了することにより、返還義務が生じるので、借主が大学を卒業すれば返還してもらえます。- より詳細な解説はこちら
- 2. 土地の一時賃貸借
私は、郊外に広い土地を所有しております。契約書に「一時使用」であることを明示し、契約期間を2 年間として水道業者に事務所兼倉庫を建築する目的でその土地を賃貸した場合、期限が来たら必ず返還してもらえるでしょうか。なお、権利金は受け取らない予定です。
借地借家法に規定のある一時使用目的の借地権とは、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定した事が明らかな場合に限られます。
本問では、水道事業者の事務所兼倉庫を建築する目的で借地権が設定されており、一時使用の目的で借地権を設定したことが明らかであるとまでいえませんから、契約書に「一時使用」と明記されていても、それだけでは一時使用目的の借地権には該当せず、普通借地権を設定したものとして存続期間は30年となります。- より詳細な解説はこちら
- 3. 借地借家法の適用の有無
当社は、スーパーマーケットを経営していますが、その一画を焼きたてパンの店に賃貸しました。売り場面積を広げる計画があるのですが、賃貸借期間が満了したら、明渡を求めることができますか。
焼きたてパンの店が、スーパーマーケットの部分と、構造上及び利用上の独立性・排他性を有している場合は、借地借家法の適用を受けますが、スーパーマーケットの売り場の一部としてショーケースを設置し、他の場所で焼いたパンを陳列して販売している場合などスーパーマーケットとの独立性・排他性が認められない場合には、建物の賃貸借とは認められないため同法の適用はなく、期間満了により賃貸借契約は終了します。
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- 4. 終身建物賃貸借
私は、現在郊外に内縁の妻と二人暮らしをしています。65 歳になりましたので、買い物にも便利な都心の賃貸住宅に転居しようと考えております。終身借家権制度を利用するとバリアフリーの住宅を賃借できると聞いたのですが詳しいことを教えて下さい。なお、妻は58 歳です。
あなたが死亡したときに賃貸借契約が終了するという条件で、終身建物賃貸借契約を結ぶことができます。奥様は、60 歳未満でもかまいませんし、内縁関係でも資格があります。あなたがお亡くなりになった場合、賃借権の相続はできませんが、奥様は引き続き1 ヶ月間その借家に居住することができ、その間に家主に継続して居住したい旨申し出ることによって、新たに終身建物賃貸借契約を結ぶことができます。
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契約締結段階
- 1. 契約書の内容検討
今般、マンションを借りることになりました。
賃貸借契約を締結するに際して、契約書の内容で注意すべき点はありますか。賃料や契約期間などの基本的項目(契約書の頭書に一覧表で記入されることが多いです。)以外に、何が借主の義務や責任とされているかに注意する必要があります。
また、国土交通省が賃貸住宅標準契約書(改訂版。平成24年2月10日公表)を公開していますので(http://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000069.html)、これと比べてみることもできます。- より詳細な解説はこちら
- 2. 契約の成立時期
契約書はまだ交わしていませんが申込金を払いました。しかし、他にいい物件が見つかったのでキャンセルしようと思います。申込金は戻ってくるのでしょうか。
また、いつ契約が成立したと考えられますか。賃貸借契約の成立時期は、借主・貸主の合意が整った時点です。
通常、申込金を支払っただけでは、まだ契約は成立していません。
申込金の返還については、申込金支払い時の返還に関する定めによります。- より詳細な解説はこちら
- 3. 修繕義務・瑕疵担保責任
賃貸マンションに入居しましたが、雨漏りがします。
貸主が補修してくれるのでしょうか。また、解除できるのでしょうか。契約に特段の合意がない以上、貸主が補修義務を負います。また、雨漏りが入居前には明らかになっておらず、入居後判明したなどの場合、雨漏りにより、住居としての使用が困難になるなどしていれば、瑕疵担保責任に基づいて解除又は損害賠償請求ができます。
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- 4. 仲介業者の役割
3 の場合で、仲介業者は何をしてくれるのでしょうか。その責任範囲はどこまでと考えられますか。
仲介業者が雨漏りの事実を知ってこれを秘して仲介した場合には、損害賠償責任を負う場合があります。知らなかった場合に、調査義務に反したとするのは、瑕疵の程度や明白性にもよりますが、難しいと考えられます。
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- 5. 借主の信用情報
賃貸借契約を申し込みましたが、貸主が私の信用情報等を取得して審査することがあるのでしょうか。
実は昔、賃料の滞納が原因で賃貸借を解除されたことがあるのですが、貸主がこれを知ることはあるのでしょうか。過去に借主が保証人として保証会社を利用しており、次の賃貸借でも保証会社を利用する場合、過去の賃料滞納による代位弁済等の情報を次の貸主が知る場合もあります。また、賃料の支払いにクレジットカードを利用するなど信販会社を通じて契約する場合、これまでのクレジットカードの利用に関して金融機関や信販会社が取得したローンやクレジットカードの支払いに関する滞納等の信用情報(破産に関する情報を含む。)を、賃貸物件の貸主が知る可能性もあります。
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敷金、保証金、礼金、権利金等
- 1. 敷金
マンションを借りようとしたところ、敷金を請求されました。敷金とは何ですか。
敷金は、不動産の賃貸借契約を締結するときに、借主から貸主に交付される金員で、未払賃料や原状回復費用等、借主が不動産を明け渡すまでに発生する借主の債務を担保するものです。
借主が不動産を明け渡すと、借主の債務を清算して、残額が返金されます。- より詳細な解説はこちら
- 2. 保証金
当社の事務所として使用するため、貸しビル業者からオフィスビルを賃借しようとしたところ、保証金の5 割は賃貸借契約が終了しても返還されないとの条項がありました。契約期間は10 年ですが、2 年で解約した場合も5 割は返還されないのでしょうか。
事業者間での契約であるため、原則として、この特約は有効であり、途中解約した場合であっても返還されないと考えられます。
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- 3. 礼金・権利金
賃貸借契約を締結する際、礼金や権利金というお金が請求される場合がありますが、これらのお金はどういうものですか。
一般的に、礼金とは、賃貸借契約を締結する際に、借主が貸主に対して支払う謝礼、権利金とは、不動産の賃貸借契約を締結する時点で借主から貸主に対して交付される金員をいうとされています。いずれも貸主が返還を要しない金員ですが、その性質については必ずしも明確ではありません。
また、その有効性についても、礼金を支払う約束を無効とする下級審判決があり(東京地判平成23年2月24日公刊物未登載)議論がなされています。- より詳細な解説はこちら
- 4. 更新料・更新事務手数料
マンションを借りる際、契約期間が満了した後も引き続き借りる場合には、更新料や更新事務手数料が必要になると説明されました。更新料・更新事務手数料とは何ですか。
いずれも、賃貸借契約の更新の際に借主から貸主に対して交付される金員で、一般的に賃貸人が返還を要しないものをいうとされています。このうち、契約更新時の事務費用を更新事務手数料といいます。
これらの費用については、借主と貸主で合意しておかなければ貸主は請求できません。一般には、契約締結時にその内容を定めます。- より詳細な解説はこちら
定期借地権
- 1. 定期借地権
定期借地権とは何ですか。普通借地権とどう違いますか。
定期借地権にはどのようなものがありますか。定期借地権は更新のない借地権です。普通借地権は更新のある借地権です。
定期借地権は、更新がないため存続期間の満了等により確定的に借地関係が無くなります。
定期借地権には3 種類あります。概略は、下表の通りです。- より詳細な解説はこちら
- 2. 一般定期借地権
先祖代々の土地を、できるだけ長期間で居住用建物用に貸して欲しいという申込があります。定期的に賃料が入り、借地期間が終われば必ず返してもらえて、立退料等も支払わずに済むのなら貸しても良いと考えていますが、良い方法がありますか。
一般定期借地権があります。
これは、①借地期間を50 年以上、②契約の更新がないこと、③建物の再築による借地期間の延長がないこと、④建物買取請求権がないこと、⑤これらを公正証書等の書面に定めることにより成立します。
借地期間が長期間にわたるので、後日の紛争を避けるために、その間に生じうる種々の事情を想定した契約内容にする方が良いでしょう。- より詳細な解説はこちら
- 3. 事業用定期借地権等
有料老人ホーム業者から、事業用定期借地権等で土地を貸して欲しいといわれていますが可能でしょうか。病院や介護老人保健施設に貸すときはどうでしょうか。
事業用定期借地権等で貸すときは、どのような点に注意をする必要がありますか。事業用定期借地権等は、もっぱら事業の用に供する建物で居住用でないものの所有を目的とすることが必要とされています。したがって、有料老人ホームは事業用借地権の対象とはなりませんが、病院等は、医療提供施設であるため対象となります。
事業用定期借地権等は、公正証書で作成する必要があります。このため、公正証書作成前に事前にその内容を取り決めておいた方が良いでしょう。その他の注意事項は、一般定期借地権を見てください。- より詳細な解説はこちら
- 4. 建物譲渡特約付借地権
借地契約をしますが、一定期間経過後、地主が借地人から地上建物を買い取って借地契約を終了させることができる契約にしたいのですが、そのようなことができますか。どのような点に注意をする必要がありますか。
借地契約の際に、「借地契約後30 年以上経過した日に、貸主が建物を相当の対価で譲り受ける」旨の定めをすることによってできます。建物を譲り受ける地位を確保するために建物に仮登記をしておいた方が良いでしょう。ただし、借地契約が終了しても、借地人や借地上建物の賃借人が建物を利用したい場合は、これらの者が請求すれば、建物の利用権(法定借家権)が残ります。しかし、定期借家契約を利用することは可能です。
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- 5. 定期借地権上の建物の賃借人の立場
①一般定期借地権で土地を借りており、借地期間が満了すれば土地を更地にして明渡さなければなりませんが、借地上の建物の賃借人にも明渡してもらうことはできるでしょうか。
②借家していたところ、突然、家主から一般定期借地権で土地を借りていて建物を取壊すので、建物を明渡して欲しいと言われています。明渡さなければならないでしょうか。①借地期間満了前を建物賃貸期間の満了日とする定期借家契約をして明渡してもらえます。また、定期借家契約でなくても、借地人(家主)は建物賃借人と賃貸契約をする際に、建物取壊し時には賃貸契約が終了する旨の特約をすることが認められていますので、この特約により明渡してもらえます。
②上記の契約等がない場合で、建物賃借人が借地契約の終了を、その1 年前までに知らなかったときは、裁判所に申立てて、その事情を知った時から1 年の範囲で明渡しを猶予してもらえます。- より詳細な解説はこちら
- 6. 普通借地権から定期借地権への変更
何十年も前から土地を貸していますが、賃料も上げてもらえず、なかなか返してももらえません。更新がなく、立退料もいらないという定期借地権というものがあると聞きましたが、これに変えることはできませんか。
平成4 年施行前の借地契約は、普通借地権ですが、これを定期借地権に変えることはできません。ただし、一旦、地主と借地人との合意により、普通借地権を合意解除し、改めて定期借地権を成立させることは、可能な場合があります。
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定期借家権
- 1. 定期借家権
定期借家契約というものがあると聞きましたが、どのようなものでしょうか。期間は決まっているのでしょうか。また、公正証書を作成しなければいけないとも聞きましたが、本当ですか。
定期借家契約とは、更新がなく、期間の満了により契約が終了となる賃貸借契約です。
また、賃貸借の期間も合意によって自由に定められます。契約は、書面によらなければなりませんが、公正証書でなくてもかまいません。- より詳細な解説はこちら
定期借家契約を締結しようと思います。賃貸借契約書のなかで「定期借家契約である」と記載していますので、別途、事前説明文書は交付しなくてもよいでしょうか。
別途、事前説明文書が必要です(最判平成24年9月13日金融・商事判例1417号8頁)。また、口頭でも慎重に説明しないと、トラブルになりがちです。
※なお、下記御池ライブラリー記事では、結論の異なる下級審裁判例を紹介しておりますが、記事掲載後に上記最高裁判例が出ましたので、補足させていただきます。
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所有アパートで定期借家契約を締結したいのですが、なかなか借主が集まりません。
私としては、家賃滞納などがなければ、長く住んでいてもいいかな、と思っています。「延長もあり得る」などと説明して借主を募集したいのですが、問題ないでしょうか。定期借家契約は、終了後も再契約をすることは可能です。ただし、契約前に、再契約について期待を抱かせることは、定期借家契約についての正確な理解を妨げかねないので注意が必要です。
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私は、現在、貸主として2 年の定期借家契約を締結しています。もうすぐ終了時期の6 か月前なのですが、借主は、期間終了後も1 年くらいは住みたいと言っています。私としても、今のところ出ていってもらう必要性もありません。期間満了後に通知を出したとしても、将来、借主に確実に出ていってもらえるでしょうか。
終了通知を遅らせることについては慎重になるべきです。期間満了後相当期間経過してから終了通知を出した場合には、当然に明渡しを求められないかもしれませんので、注意が必要です。
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株式会社の法務担当者です。1年前に、会社を借主として、A市にあるアパート(延床面積は約180㎡で、合計3部屋に従業員3家族が住んでいます。)について3年間の定期借家契約により社宅として借りました。このたび支店統廃合のため同地を撤退することになったのですが、中途解約できるでしょうか。契約書にはとくに中途解約ができないとは記載がないのですが。
原則として、定期借家契約の中途解約は認められていません。また、借主が法人である場合には、法38条5項による法定中途解約もできません。このような事態を避けるためには、契約時に中途解約権を留保しておくか、個々の従業員に直接借主として貸主と契約をしてもらうことをおすすめします。
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賃料増減額請求
- 1. 地代や家賃の増減額請求の可否及び手続
私は、現在アパートを所有し、住人に賃貸しています。アパートの住人とは30年ほど前に賃貸借契約書を交わしており、契約書には賃料が記載されています。けれども、年月が経ち、当初定めた家賃は、近隣のアパートと比べて非常に低いものになっています。そこで、アパートの住人に対して賃料の値上げを要求したのですが、応じてもらえませんでした。この場合、賃料の増額を請求することはできないのでしょうか。
一定の場合には賃料の増額請求が可能です。設問の事例ように、アパートの住人が賃料の増額に応じてくれない場合、家主は、裁判所に対し調停を申立てることになります。調停が成立しなかった場合には適正な賃料額を確認する訴訟を提起することになります。
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- 2. 賃料の改定基準
賃借人に賃料の増額を請求する場合、適正な賃料額はどのように考えたらよいのでしょうか。賃料額を決めるにあたり、どのような要素を考慮すればよいのでしょうか。
原則として、①土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減、②不動産価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動の有無、又は③近傍同種の建物の借賃との比較等により、相当とされる賃料を決定することになります。ただし、場合によっては上記以外の当事者間の個人的な事情が考慮されることもあります。
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- 3. 賃料の増額請求と賃借人の債務不履行
賃借人に対して賃料増額請求をしましたが、賃借人は従前通りの賃料を支払ってくるのみで、裁判で適正な金額が確定するまでは増額分は支払わないと言っています。請求している賃料からすると一部不払いの状態が続いているので、賃貸契約自体を解除してアパートを出ていってもらうことは可能でしょうか。
賃料増減額を決める判決が確定するまでは、賃借人が従前の賃料を払っている限り、賃料不払いを理由とする解除はできません。賃借人が従前通りの賃料を供託した場合も同様です。
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- 4. サブリース契約と賃料増減額請求の可否
私は、土地を所有していましたが、1990年代に、不動産賃貸の事業者であるA社と、私の所有する土地上に私の資金で建築した建物で転貸事業を行うため、A社と予め賃料額、その改定等につき協議をし、建物をA社に一括して賃料自動増額特約の下に賃貸することを内容とする契約(いわゆるサブリース契約)を締結しました。ところが、いわゆるバブル経済の崩壊により、建物の賃料収入が減少したため、A社が毎年自動的に増額されるはずの賃料を支払ってくれません。それどころが、A社は賃料の減額を請求すると言ってきています。これでは、最初にA社が私に説明した収支予測と話が全く異なります。そこで、私は、A社の賃料減額請求を拒むことができるでしょうか。A社とは、毎年賃料を増額して支払うという約束で建物を賃貸したのですから、減額請求などされると困ります。
A社の賃料減額請求を拒むことはできません。ただし、本件はいわゆるサブリース契約に該当するので、適正賃料額を決定するに際して、特別な考慮がなされる場合があります。具体的には、本件サブリース契約における建物賃貸借事業の当初の収支予測や賃料収入の見通しについての当事者の認識、賃貸人の銀行からの借入額や返済状況等が考慮されます。
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借地条件の変更、借地上建物の増改築など
- 1. 借地条件とは
私は、土地を貸すことを考えていますが、景観にそぐわない建物を建てられたり、勝手に増改築されるようなことがあると困ります。建てる建物の構造等を契約で制限することはできるのでしょうか。
借地借家法の一定の規制は強行法規と呼ばれ、当事者の契約によっても変更できないとされていますが、借地上建物の種類、構造、規模、用途などを制限したり、増改築を禁止する約定を設けることは規制されていませんので条件を付することができます。これが借地条件と呼ばれるものです。本来、土地の賃借人は、どのような建物を建てるのも自由なのが原則ですが、賃貸人としては、一定の制約をしたいこともあるため、契約により建物の種類等を制限することができます。
他方、賃貸借の契約期間内に、火事で建物が焼失してしまったり、どうしても増改築しなければならない必要性が生じた場合、借地条件を変更できないと賃借人は不利益を被ることになります。このように、契約期間中の建物滅失や増改築の必要性が生じた場合、従前の借地条件を変更する必要性が生じることになり、旧借地法や現行借地借家法は、こうした事態にも対応しています。- より詳細な解説はこちら
- 2. 建物滅失後の再築の可否、存続期間
私が土地を借りて建てていた建物が、火事で滅失してしまいました。新たに建物を建てることはできるのでしょうか。土地の賃貸借契約の残りの期間は5年ほどしかないのですが、新築で契約期間が延びることはないのでしょうか。
建物が火事により滅失した場合や自ら建物を取り壊した場合でも、土地の賃貸借契約は消滅しませんので、新築することができます(但し、旧借地法で契約で期間を定めずに法定期間となっている場合に、建物が自然に朽ち果てた時(朽廃)は、土地の賃貸借契約は消滅します。)。新築した場合、残りの契約期間がどうなるのかについては、期間が伸張される場合もありますが、旧借地法と現行借地借家法では、規制に大きな違いがあります。
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- 3. 増改築禁止特約がある場合の増改築の可否
私は土地を借りて木造家屋を建てていますが、土地の賃貸借契約では建物の増改築を禁止する特約が入っています。しかし、私が建物を建てた後、付近が都市化してきて防火地域に指定されました。現在の建物は耐火構造になっていないため、耐火構造に改築したいと思いますが、賃貸人が承諾してくれません。どうしたら良いのでしょうか。
増改築については、これを禁止する特約がある場合でも、旧借地法、借地借家法ともに、裁判所に対して賃貸人の承諾に代わる許可を申し立てることができます。
なお、耐火構造建物にするためには、建物の建替が必要になることありますが、この場合でも、旧借地法、借地借家法共に、木造家屋を例えば鉄筋コンクリート構造などの堅固な建物に建て替えることについて、裁判所に許可を求めることができます。旧借地法では、このように非堅固建物を堅固建物に建て替える必要がある場合だけが規定されていましたが、借地借家法では、借地条件一般について、裁判所の許可を求めることができることとされました。- より詳細な解説はこちら
賃借権の譲渡・転貸について
- 1. 賃借権の譲渡・転貸の可能性
期間30年で賃借している土地があるのですが、自分自身では使わなくなったので、他の人に土地を借りる権利を譲渡したり、転貸したりすることができますか。
法律上、賃借物を無断で他の人に使用させてはいけませんが、貸主の承諾があれば、他の人に賃借権を譲渡したり、転貸したりすることができます。
また、承諾を得られない場合でも、借地については、裁判所に申し立てて承諾に代わる許可を得るという方法もあります。- より詳細な解説はこちら
- 2. 違法な賃借権の譲渡・転貸
私は土地を人に賃貸しているのですが、借主が、私に無断で、他の人に土地を借りる権利を渡したり、転貸したりしてしまった場合はどうなるのですか。
賃借権の承諾を受けず賃借権の譲渡や転貸を行った場合は、原則として賃貸借契約を解除することができますが、同居の親族への転貸のケースなどで、借主との信頼関係がいまだ壊れていないと考えられるような特別の事情が認められる場合には解除はできません。
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- 3. 適法な賃借権の譲渡
貸主から承諾を受けて賃借権を譲渡したのですが、私や貸主、賃借権を譲り受けた人との関係はどのようなものになるのでしょうか。
その場合には、貸主と借主との間のもともとの賃貸借契約で定められていた関係が貸主と賃借権の譲受人との間に引き継がれることとなり、賃借権を譲り渡した借主は契約関係から外れることとなります。
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- 4. 適法な転貸
貸主の承諾を受けて転貸した場合には、どのような関係が生じるのでしょうか。
転貸の場合には、もともとの貸主と借主との間の関係には影響がありません。また借主(転貸人)と転借人の関係は通常の賃貸借契約の場合と変わりません。
ただし、借主(転貸人)がもともとの貸主に対して賃料を滞納した場合などには、貸主は転借人に直接賃料の支払いを請求できることがあります。- より詳細な解説はこちら
- 5. 原賃貸借が終了した場合の転借人
私は、他の人が借りていた建物の転貸を受けて使用しているのですが、もともとの賃貸借契約が解除されてしまいました。私の立場はどうなるのでしょうか。
解除の理由がもともとの借主(転貸人)の契約違反等にある場合には、判例の立場によれば貸主は転借人であるあなたに対して明渡しを求めることができることとなると考えられます。
他方、解除が、もともとの貸主と借主(転貸人)との間の合意によるものである場合には、原則としてそのような解除を理由にして、貸主が転借人であるあなたに明渡しを求めることはできません。- より詳細な解説はこちら
建物の修繕
- 1. 必要費と有益費
賃貸マンションに家族で住んでいます。子ども部屋のふすま紙が端のほうが剥がれて、ついには破れてしまったので、2万円を支払って、ふすま紙を張り替えました。この費用を家主に請求することはできますか。
また、トイレを近隣の下水道の完備に伴い、くみ取り式から水洗式に改造しました。支出した20万円の費用を家主に請求することはできますか。
なお、修繕や改装に関する特約はありません。賃借目的物である居室の修繕義務は、家主が負いますので、ふすま紙の張り替え費用は、必要費として直ちに家主に対し、請求することができます。
一方、トイレを水洗式に改造することにより、賃借中の建物の価値を客観的に高めたといえますので、トイレ改造費は、有益費用として賃貸借終了の時に家主に請求することができます。- より詳細な解説はこちら
- 2. 小修繕と修繕特約
賃貸借契約書には、「1 賃借人は、故意・過失を問わず、本件建物の一切の毀損・汚損その他の損害について、自己の費用で修繕しなければならない。2 カーペット、壁紙・天井クロスの張り替え、畳の表替え等は、賃借人の負担において行なう」という条項があります。明渡に際し、長年の使用で汚損した壁紙の張り替えを家主から求められました。壁紙の貼り替え費用を負担しなければなりませんか。
このような修繕に関する特約は、賃借人に修繕義務を課したものではないので、壁紙の張替え費用を支払う必要はありません。
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- 3. 大修繕と修繕特約
賃借中の建物の屋根が壊れて、雨漏りがして困っています。家主に雨漏りの修繕をするよう請求できますか。
契約書には「本件建物についての修繕は、賃借人が費用を負担して自ら行う」との規定があります。雨漏りしている屋根の修繕は、建物の基本的な構造に影響すべき現状を変更する修繕といえ、大修繕にあたりますから、ご質問のような特約があっても、その費用は家主が負担すべきであり、修繕を請求できます。
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用法遵守義務違反
- 1. 使用目的違反
マリンスポーツ店の事務所、店舗に使用すること及び書面による家主の承諾を得なければ賃借部分の現状を変更する工事をしてはならない旨を約束して所有ビルを賃貸したのですが、賃借人は、マリンスポーツの会員等に対する飲食を提供するためと称して、無断で便所の移設、ガスの配管工事を行い、女性に接客させて酒食を提供しています。使用目的に反するので、契約を解除したいのですが、可能ですか。
賃借人の無断改装や用法違反は、その程度によって、賃貸借の当事者間の信頼関係を破壊すると認められる場合には解除できます。本件では、契約に反して建物の構造に悪影響を及ぼしかねない便所の移設、ガスの配管工事を行った点、事務所・店舗に使用すると見せかけて、女性に接客させて酒食を提供する営業を行っている点から、家主との信頼関係を破壊したと認められるので、契約を解除できます。
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- 2. ペットの飼育禁止
私の経営するアパートは、動物の飼育を禁止することを契約書に明記しています。ところが、無断で犬を数匹飼っている賃借人がおり、アパートの内外が犬の糞尿で汚されて困っています。契約違反で解除できますか。
賃貸借契約において、動物の飼育を禁止する特約は有効です。この特約に違反して犬を飼った賃借人に対し、特約違反で直ちに契約解除ができるわけではありませんが、家主との信頼関係が破壊されたとみられる場合は、契約の解除が可能です。
- より詳細な解説はこちら
賃料不払い
- 1. 賃料不払いによる解除
賃貸しているマンションについて、借主が1か月分賃料の支払いを怠ったら、賃貸借契約を解除して出て行ってもらうことはできますか。
特別な事情がない限り、借主が1か月分の賃料を怠っただけでは賃貸借契約を解除することはできません。
- より詳細な解説はこちら
- 2. 信頼関係の破壊となる債務不履行の程度
それでは、借主が何か月の賃料の支払を怠れば賃貸借契約を解除できますか。
一般的には3か月分程度の賃料不払いがあれば賃貸借契約を解除できます。
- より詳細な解説はこちら
- 3. 特約があった場合
マンション賃貸借契約で、「1か月分でも賃料の支払いを怠ったら無催告で契約を解除できる」旨の特約は有効ですか。
基本的に無効と考えられます。
- より詳細な解説はこちら
建物賃貸借契約終了一般
- 1. 建物賃貸借契約(普通借家契約)の終了原因
建物を賃貸していますが、娘が結婚したことを機に、娘夫婦に使わせてあげたいと考えています。建物の賃貸借契約が終了する場合としてはどのようなものがありますか。
普通借家契約であれば、①更新拒絶、②解約申入れ、③賃借人との合意による解除及び④法定解除等が考えられますが、①及び②については、正当事由が必要とされます。
- より詳細な解説はこちら
- 2. 建物賃貸借契約の解除一般
建物を賃貸しています。賃貸借契約はどのような場合に解除できるのでしょうか。
解除事由としては、賃料不払、無断増改築、用法遵守義務違反等の債務不履行による場合と、賃借権の無断譲渡や建物の無断転貸の場合などが考えられます。但し、これらの解除事由の存在が認められる場合であっても、賃借人による行為が賃貸人と賃借人との間の信頼関係を破壊しない程度のものである場合には、賃貸人による解除は制限されます。
- より詳細な解説はこちら
- 3. 迷惑行為を理由とする建物賃貸借契約の解除
賃貸マンションを所有し、大家をしていますが、最近、借主の方から隣室の深夜の騒音がひどいという苦情が出て困っています。騒音を発生させている借主との賃貸借契約を解除することはできないのでしょうか。
騒音の種類、音量や頻度、隣人が受けている迷惑の程度にもよりますが、用法遵守義務違反による解除が認められる可能性があります。
- より詳細な解説はこちら
- 4. 中途解約条項に基づく普通借家契約解除の可否
建物を契約期間3年として賃貸していますが、建替えのため、借主の方には退去していただきたいと考えています。改めて契約書を確認すると、4ヶ月前の予告があれば中途解約できると規定していました。この規定に基づき、賃貸借契約を中途解約することはできますか。なお、その借主と締結したのは定期借家契約ではありません。
解除の理由とされている中途解約条項は、借地借家法30条に違反し、無効と解されますので、賃貸人は、当該条項に基づき、賃貸借契約を解除することはできません。
- より詳細な解説はこちら
- 5. 定期借家契約の終了
建物を定期借家契約で貸しています。契約を終了させる場合、通常の建物賃貸借契約の終了と異なる点はありますか。
定期借家契約は、契約当初の存続期間どおりに借家関係が終了する借家権を認めるものであり、更新が認められず、期間満了により終了します。また、中途解約も原則として認められません。
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土地賃貸借契約終了一般
- 1. 土地賃貸借契約の終了原因
土地の賃貸借契約が終了する場合としては、どのようなものがありますか。
合意により終了する場合として合意解除が、当然に終了するものとして期間の満了が、一方的に終了させる場合として解約申入れ及び法定解除等があります。
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- 2. 解約申入れ
所有している空き地を有効活用しようと考えて、駐車場として賃貸しました。特に期間を定めずに貸していたのですが、この度、その土地に別荘を建てることになりました。土地を返してもらうことはできるのでしょうか
建物の所有を目的とせず、期間の定めのない土地賃貸借契約においては、解約の申入れをし、1年経過後に土地を返してもらうことができます。
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- 3. 期間の満了と存続期間
所有する土地を、借地人が自宅を建てるために、期間10年間として賃貸し、借地人はその土地に自宅を建てて住んでいます。もうすぐ10年になりますが、借地人からは、まだ子どもも小さいし、新しく家を建てるお金もないから、10年経った後も住み続けたいと言われています。10年経った時に土地を返してもらえないのでしょうか。
建物の所有を目的とする借地契約については、旧借地法または借地借家法が適用されます。
大正10年5月15日から平成4年7月31日までに締結されたものについては、旧借地法の適用により、堅固な建物の所有を目的とする場合には30年未満の期間を定めてもその期間は60年とされ、非堅固な建物の所有を目的とする場合には20年未満の期間を定めてもその期間は30年とされます。
平成4年8月1日以降に締結されたものについては、借地借家法の適用により、建物の種類を問わず、30年未満の期間を定めてもその期間は30年とされます。
したがって、設問の事例では、10年を経過した時点で返してもらうことはできません。- より詳細な解説はこちら
- 4. 建物買取請求権
所有する土地を借地人が自宅を建てるために賃貸し、実際に借地人が自宅を建てて住んでいましたが、この程、期間満了で、更新もなく、借地契約が終了することになりました。土地の明渡しにあたって、借地人から、借地上に建てた建物を買い取ってもらいたいと言われています。買い取らなければならないのでしょうか。
借地契約の存続期間が満了し、更新がなされない場合で、借地人がその権原により借地に建て、所有する建物が存続しているときに、借地人が建物買取請求をした場合には、地主は、その建物を時価で買い取らなければなりません。
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賃貸借契約の更新
- 1.
子ども3人が大学に進み、いずれも下宿することになり、賃貸マンションを借りました。更新について賃貸借契約書の記載が色々です。
①長男の契約書には、契約期間が書いてありません。4年間そこに住み続けたいと言っていますが、その場合には、更新は考えなくてよいのでしょうか。長男は「期間の定めのない賃貸借契約」を締結しており、「更新」ということは考えなくてよいです。但し、期間の定めのない建物賃貸借契約では、賃貸人から解約申入れがされる可能性があります。賃貸人による解約申入れは理由が限定されており、「正当の事由」がある場合にのみ解約申入れができ、その場合には申入れから6ヶ月を経過することによって賃貸借契約は終了します。どういう場合が「正当の事由」となるかは法律で例示されており、裁判例の蓄積もあります。
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②長女の契約書には、契約期間が2年と書いてあります。2年以上住みたい場合に、賃貸人の方から断られることがあるのでしょうか。その場合、どのようなことを注意したらよいのでしょうか。
長女は、契約期間終了時に賃貸人から更新拒絶をされる可能性があります。但し、賃貸人による更新拒絶は制限されており、解約申入れと同様の「正当の事由」がなければできません。また、期間満了前の一定の期間までに更新しないという通知をしなければ、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる「法定更新」も規定されています。
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③二男の契約書には、契約の更新がない「定期借家契約」とあり、2年で明け渡すことが書いてあります。この場合、更新することができるのでしょうか。
二男は、契約の更新がない「定期建物賃貸借」の要件を満たす場合には、更新できません。正当事由の制限や法定更新の制度も適用されません。但し、再契約は否定されず、優良な賃借人を選別する手段となっており、期間中問題が生じなければ再契約される可能性が高いと考えられます。
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- 2.
当社は建設業を営んでいます。倉庫用地Aと資材置場Bの2つの土地をいずれも期間20年で借りています。倉庫は当社で建てて登記もしています。間もなく20年の契約期間が満了します。引き続き借りたいのですが、ABの両土地とも更新はできるのでしょうか。その場合の賃料や賃借期間などの条件はどうなるのでしょうか。
建物所有を目的とした倉庫用地Aの借地契約は、借地借家法で存続期間が30年とされています。そのため更新をしなくてもそのまま使用できます。資材置場Bは建物所有を目的としていないので、期間満了で終了することが原則となります。ただし、使用、収益をしていながら賃貸人が異議を述べなかった場合は更新したと推定されます。その場合の条件は従前と同じですが、期間の定めのない賃貸借契約となります。
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原状回復義務
- 1. 原状回復義務
このたび引っ越すことになり、居住用賃貸マンションを退去しましたが、日焼けにより変色した畳の交換費用と子どもが落書きしてしまった壁クロスの張替費用が敷金から差し引かれました。
これらの費用が敷金から差し引かれるのは仕方ないのでしょうか。子どもが落書きしてしまった壁クロスの張替費用については敷金から差し引かれるのはやむを得ませんが、日焼けにより変色した畳の交換費用については敷金から差し引かれるのは不当です。
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- 2. 原状回復特約
賃貸人に畳の変色は通常損耗であると言ったのですが、賃貸借契約書に「賃借人は、故意又は過失を問わず、契約物件に損耗を生じさせた場合は、その補修費用を負担しなければならない。」という特約があると言われました。
このような特約がある場合は、通常損耗の補修費用も負担しなければならないのでしょうか。このような自然損耗・通常損耗の原状回復費用まで賃借人の負担とする特約は不成立もしくは消費者契約法10条により無効となる可能性があります。特約が不成立もしくは無効の場合は、そのような特約があっても賃借人が通常損耗の補修費用を負担する必要はありません。
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- 3. 補修の範囲、減価償却等
子どもが落書きしてしまった壁クロスの張替費用を負担することになりましたが、落書きしていない部分も含めて、新品のクロス代全額を請求されました。
これら全部を負担しなければならないのでしょうか。落書きしてしまった部分の張替費用を負担すれば足り、落書きしていない部分の張替費用まで負担する必要がないのが原則です。
また、新品のクロス代全額を負担する必要はなく、経過年数に応じた一定割合の金額を負担すれば足ります。- より詳細な解説はこちら
貸主の交代
- 1. 賃貸マンションが売買された場合
賃借して住んでいるマンションが売買され、オーナーが替わりました。新しいオーナーからは退去を求められています。この場合、退去しなければいけないのでしょうか。
建物の引渡を受けた建物賃借権は、新所有者に対抗できるため、退去する必要はありません。
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- 2. 賃貸マンションが売買された場合の敷金
賃借しているマンションが売買され、オーナーが替わりました。その後退去することになったのですが、前のオーナーに差し入れた敷金の返還を新しいオーナーに請求することはできるでしょうか。
できます。
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- 3. 賃貸マンションが相続された場合
賃借しているマンションのオーナーが死亡され、相続人から退去を求められています。この場合、退去しなければいけないのでしょうか。
退去を求められない場合、相続人が複数いるときは誰に賃料を支払えばいいでしょうか。相続人からの退去の求めには応じる必要はありません。
相続人が複数いるときの賃料は、賃貸人の地位を承継する者が決まればその者に対し支払い、この者が決まらない間は賃料を各相続人に対し相続分に応じて支払うことになります。- より詳細な解説はこちら
- 4. 賃貸マンションが競売になった場合
賃借しているマンションが競売になり、競落した人が新しいオーナーとなりました。新しいオーナーからは退去を求められています。退去しなければならないのでしょうか。
競売の原因となった抵当権の設定時期が賃貸借契約よりも前であった場合には退去しなければなりません。この場合、競落人の買受時から6ヶ月の猶予期間があります。
抵当権の設定時期が賃貸借契約よりも後の場合には退去する必要はありません。- より詳細な解説はこちら
- 5. 賃借土地が売買された場合(建物所有目的の場合)
建物を建てるために賃借し、建物を建てて建物の登記をしています。この土地が売買され、新しいオーナーから明渡を求められています。この場合、明渡に応じなければならないでしょうか。
明渡に応じる必要はありません。
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地震と賃貸借
- 1. 地震による借地上の建物の倒壊と再築
私は、平成元年から借地上に木造建物を建てて居住していたのですが、地震により建物が倒壊し居住できなくなりました。そこで、今度は耐震構造の鉄筋コンクリート造りの建物を再築しようと思います。しかし、地主は、当初の契約では木造住宅を建てる目的であったとクレームをつけてきました。鉄筋コンクリート造りの住宅を建てることはできないのでしょうか。
この事案は、旧借地法の適用があり、木造建物を建てることを目的とする借地契約である以上、鉄筋コンクリート造りの建物を再築することはできず、木造など非堅固な建物の再築に止めざるを得ません。
なお、再築自体については、仮に契約で、地震によって建物が滅失した場合には借地権が消滅する旨の特約が定められていても、そのような特約は無効であり、再築は地主の承諾なしにできます。- より詳細な解説はこちら
- 2. 建物滅失による再築後の借地期間
地震で借地上の木造住宅が倒壊しました。契約は平成10年に行っており、存続期間は30年としました。今度は耐震構造の鉄筋コンクリートの建物を建てようと思います。借地期間はどうなりますか。
地主の承諾があるか、地主からの異議がなければ、新築の日から20年間に延長されます。
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- 3. 地震による賃借建物の損傷1
賃借中の建物が、地震で損傷しました。この震災および私の居住地域は、罹災都市借地借家臨時処理法の適用が政令指定されました。
家主からは、建物が滅失したので、契約は終了したから明け渡してほしいと言われています。明け渡す必要がありますか。家主の主張するような「建物の滅失」にあたる場合は、契約の目的物が消滅して賃貸借は終了します。しかし、罹災都市借地借家臨時処理法の適用がある場合には、特別の救済措置がとられています。
これに対し、「建物の滅失」にあたらず、修理が可能であれば、家主の請求は、解約申入れに止まるので、正当事由といえるかどうかの判断が必要になります。いずれにしても、慌てて明け渡すのではなく、家主との間で、話し合う必要があります。- より詳細な解説はこちら
- 4. 地震による賃借建物の損傷2
賃借中の建物が、地震で一部損傷し、家主に修理を求めていますが、なかなか修理をしてくれません。この場合、家賃をまけてくれと求めることはできますか。
使用収益できない割合に応じて賃料の一部の支払いを拒絶することができます。
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