法律Q&A
M&A
M&A概要
- 1. M&Aとは
M&Aとはどういったものですか。
M&Aとは、直訳すると合併と買収ですが、これらには限られません。
近年の例では、住友ゴム工業とダンロップスポーツとの合併などがあります。- より詳細な解説はこちら
- 2. M&Aの増加
M&Aが増加していると聞きますが、それはなぜですか。
中小企業では、事業の拡大、あるいは、経営の引継ぎ等の手段として、M&Aの実施が増加しています。
- より詳細な解説はこちら
- 3. M&Aの活用例
M&Aの活用例を教えて下さい。
例えば、染料メーカーA社が、これまでとは異なる事業分野へ手を広げ売上げを上げることができないかにつき検討していたところ、A社が以前より小分け包装を外注していたB社が、経営者の高齢化により事業を縮小するため、小分け包装事業からの撤退を検討することになったという場合に、B社がA社に対して、小分け包装の事業を譲渡するという形でM&Aを行うケースが挙げられます(なお、これは架空の事例です。)
- より詳細な解説はこちら
- 4.
M&Aの形態の特徴はどんなものがありますか(事業譲渡、合併、会社分割について)。
下記解説(A1-4)をご覧下さい。
- より詳細な解説はこちら
株式取得等によるM&A
- 1. 株式譲渡による買収
ラーメン店を展開するX社を経営しています。最近、人気が出てきたので、店舗を増やそうと考えていますが、ラーメン業界も人手不足で、店舗を増やしても、増やした店舗が上手く回るものかと悩んでいました。すると、飲食業界の知り合いが経営するZ社が、その100%子会社でありラーメン店を運営しているY社を売りに出していると聞きました。Y社の店舗網や人員を利用できれば、私の会社の店舗増大もスムースに行くと思います。Y社を買収するにはどういった方法が考えられるでしょうか。
株式譲渡によってY社株式をZ社から取得することが考えられます。
株式譲渡契約に向けた大まかな流れは、①守秘義務契約の締結、②デューディリジェンスの実施/基本合意書の締結、③株式譲渡契約の締結、④前提条件の履行、⑤クロージング(株式譲渡)となります。- より詳細な解説はこちら
- 2. 株式交換による買収
室町時代から続く、和菓子の製造販売を行うP社を経営しています。P社の傘下には、P社の子会社で、洋菓子の製造販売を行っているS社があります。この度、S社の洋菓子事業が好調であることを受け、和菓子と洋菓子のコラボレーションによりS社の洋菓子事業の更なる成長を目指し、P社とS社の関係を強化するため、S社の完全子会社化を考えています。ただ、買収資金はできるだけ抑えたいです。どのような方法が考えられるでしょうか。
P社がS社を完全子会社化する方法として、会社法上の組織再編行為である株式交換が考えられます。株式交換によった場合、株式取得の対価をP社株式とすることが可能です。
- より詳細な解説はこちら
- 3. 合弁事業化
上記で、相談したP社の代表者です。P社では、スーパーフードであるキヌアを使ったキヌア餅が大変好評で現在、大量生産化を検討しています。しかし、キヌア餅の餅つきは手作業で、大量生産が難しい状況でした。そんな中、老舗機械メーカーQ社の役員から、Q社の100%子会社R社がキヌア餅の餅つきにぴったりの特許技術を持っているとのことで、キヌア餅を含めた餅菓子の製造販売について、合弁事業をする意向はないかというお話を頂きました。競争力強化を目指すQ社の将来構想からは、その特許やR社は外れており、Q社はいずれR社を手放す意向があるそうです。他の会社がキヌア餅の人気に便乗してくると困るので、早く事業を進めたいと思っています。合弁事業化にはどのような方法が考えられますか。
本事例では、できる限り早く合弁事業化を実現したいとのことから、合弁会社を新たに設立するのではなく、既存のR社を利用した合弁事業化が考えられます。具体的には、Q社が保有するR社株式の一部をP社に譲渡する方法や、R社が第三者割当増資によって、P社に株式を発行する方法が考えられます。
- より詳細な解説はこちら
会社買収における株式評価について
- 1.
非上場株式会社の普通株式の評価はどの様にするのですか。
上場会社の場合は、市場の取引相場がありますので、基本的にはその価格が株式の評価額となります。非上場会社の場合、株式評価の方法についてはいくつかの方式がありますが、主な方式としては、純資産価格方式、利益還元方式、類似業種比準方式があります。これらの方式を単独で使用したり、併用して按分したりするのが一般的です。
- より詳細な解説はこちら
- 2.
会社買収では、株式の評価方式としてDCF(Discounted Cash Flow)法というのが使用されるようですが、この方式はどのようなものですか。
純資産価格方式は、会社の純資産を基礎にして株価を評価する方式ですが、欠点は会社の将来の収益を考慮していないところにあります。DCF方式は、この点に配慮して、会社が将来取得しうる収益を株式評価の基礎とする方式です。
- より詳細な解説はこちら
- 3.
シナジー効果とは何ですか。
買収される会社が買収する側のグループに入ることによって得られる相乗効果のことです。
- より詳細な解説はこちら
- 4.
買収後の会社の純資産評価を超える部分は、資産の部に「のれん」として計上されますが、どの様なリスクがありますか。
例えば、楽天は、2017年2月に、Vikiについて減損処理したと公表しました。減損価格は、おおよそ214億円に上りました。Vikiの運営する動画配信サービスは1カ月2200万人が視聴するというもので、デジタルコンテンツ分野での成長が期待されていました。その発表内容を引用すると、以下の通りです。
「当社は、国際会計基準(IFRS)に基づく減損テストを実施し、現在の事業環境を踏まえて将来の回収可能性を検討した結果、買収時に発生したのれん等の減損損失を計上いたしました。具体的には、連結子会社のVIKI, Inc(米国)においては、取り巻く市場環境の変化ならびに競合の動向により、当初策定した計画に対して遅れがあったことが原因です。しかしVIKI, Incは、グローバルなコミュニティを中核としたビジネスであり、引き続きデジタルコンテンツ事業の中でも重要な位置づけとされており、今後も持続的な成長を目指してまいります。」 (https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2017/0213_02.html参照)- より詳細な解説はこちら
デューディリジェンス
- 1. デューディリジェンスとは
デューディリジェンス(due diligence)とは何ですか?どのような場合に行われるものですか?
主に投資やM&A取引を行うに際して、対象となる会社の実態とリスクを、経営・財務・法務・労務などの観点から調査・分析することを言います。
- より詳細な解説はこちら
- 2. 弁護士の関与
企業買収を検討しています。資産、財務のチェックや買収金額の検討のため、公認会計士、不動産鑑定士などにデューディリジェンスを依頼するつもりですが、弁護士にも依頼した方がよいのでしょうか?
規模や内容にもよりますが、買収の検討にあたっては法的な観点からの調査・分析も重要になりますので、弁護士による法務デューディリジェンスを行うことが望ましいでしょう。
- より詳細な解説はこちら
- 3. デューディリジェンスの内容
企業買収における買主側として、法務デューディリジェンスを依頼した場合は、具体的にどのようなことを行い、その結果はどのように報告されるのでしょうか?
対象会社から必要な資料の提出を受け、関係者へのインタビューや立入調査を行います。他の専門家等との情報交換なども行い、その結果は報告書の形にまとめて提出することが一般的です。
- より詳細な解説はこちら
- 4. 個別のチェックポイント
例えば、技術力に着目した対象会社の買収においては、法務デューディリジェンスで知的財産に関しどのようなチェックを行うのでしょうか。
保有する知的財産権の権利関係、管理状況、ライセンス契約等の確認とそのリスク、第三者による侵害リスクと対象会社による第三者の権利の侵害リスク等について確認し、チェックを行います。
- より詳細な解説はこちら
M&Aに関連した重要裁判例の検討
- 1.
対象会社に複数の株主がいるところ、対象会社を完全子会社化するために、親会社が少数株主から対象会社の株式を買い取る際、監査法人の算定よりも高額で買い取ったという場合に、この買取りを決定した取締役が善管注意義務違反に問われることはあるのですか。
当該株式の取得の必要性、財務上の負担、取得を円滑に進める必要性の程度等に鑑み、その決定の過程、内容に著しく不合理な点がなければ、取締役としての善管注意義務に違反するものではないと考えられます。
- より詳細な解説はこちら
- 2.
いわゆる表明保証条項は、M&Aの契約において一般的に記載されていますが、売主側は、1つずつ条項の内容を検討すべきなのでしょうか。
売主側は、契約書における表明保証条項を確認し、各条項の内容に反する事実関係が存在しないかを点検する必要があります。
- より詳細な解説はこちら
- 3.
買主側が対象会社のデューディリジェンスを実施する過程で売主側から提供を受けた情報については、どの程度注意して確認する必要があるのでしょうか。最終的に売主側の表明保証でカバーされるので、仮に情報の内容が表明保証された事実と相違していても補償されると考えておいて良いでしょうか。
表明保証違反となる事実について、買主に悪意又は重過失がある場合等には、表明保証違反の事実があったとしても、売主側が責任を免れる可能性がありますので、買主は注意が必要です。
- より詳細な解説はこちら