法律Q&A

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破産手続開始時現存額主義

1. 開始時現存額主義とは

お金を貸していたところ、その債務者が破産してしまいました。裁判所に債権届出をしたのですが、その後、保証人から一部の返済を受けました。この場合、届出債権を減額しないといけないのでしょうか。

減額する必要はなく、破産手続が開始した時点での債権額をもって破産手続に参加でき(集会での議決権行使など)、また、破産配当も破産手続が開始した時点での債権額を基準に配当されることになります(破産法104条)。これを開始時現存額主義といいます。

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2. 相殺との関係

主債務者が破産した後、保証人に対する債務があったため相殺し、債権が一部減りました。この場合でも届出債権の減額は不要ですか。

明確な判例はありませんが、相殺適状(双方の債務が弁済期にあることなど)が破産開始決定前に生じている時は、減額が必要になります。

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3. 第三者からの弁済

破産後、保証人などの義務を負っていない第三者から一部の弁済を受けることができました。この場合でも届出債権の減額は不要ですか。

この点も明確な判例はありませんが、開始時現存額主義は保証人などの全部義務者がいる場合の規律であり、全く義務のない第三者からの弁済の場合には減額されるとするのが一般であり、減額が必要になります。

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4. 複数債権のうち一部債権の全額弁済

主債務者に対しては2つの債権を有していました。2つとも保証している保証人から、1つの債権のみ全額の返済を受けました。その後私は開始時現存額主義によって破産手続において2つの債権を行使できるのでしょうか。

開始時現存額主義は、個別の債権ごとに適用され、1つの債権が全額返済された以上、その債権については法104条4項が適用され行使できないとするのが判例です(平成22年3月16日最判・判例時報2078号13頁)。

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5. 配当金が残債権額を超える場合

破産開始決定時には100万円の債権を有していましたが、配当までの間に保証人から80万円の返済を受けました。ところが、破産配当割合は3割(30万円)あるということになり、そのまま受け取ると10万円多くなってしまいます。このまま受け取っても良いのでしょうか。

破産手続上は30万円を受領することになります(平成29年9月12日最決・金融法務事情2075号6頁)。差額10万円は、その後、不当利得として保証人に支払うことになると考えられます。

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