法律Q&A
内部通報体制の整備等
- 1. 体制整備と実効性の確保
当社には、パート従業員含め、200人の従業員がいますが、公益通報に関する規程や制度はありません。新法により、当社にも何か相談窓口を設置するなどの対応が必要になるのでしょうか。
新法では、事業者に対し、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備等が義務付けられました。ただし、従業員数が300人以下の中小企業に対しては、努力義務とされました(新法11条3項)。よって、貴社の体制整備は、新法でも努力義務にとどまりますが、可能なところから、検討を始められるのが望ましいです。
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- 2. 公益通報対応業務従事者
当社では、ハラスメント通報窓口を法務部に置くという内部規程があります。新法で新たに従事者を定めることになったと聞きましたが、この内部規程のままでいいでしょうか。
従事者に該当するかどうかは、部署の名称にかかわらず、公益通報対応業務を行っているかどうかという実質で判断すべきです 1。貴社の現在の窓口が、ハラスメント以外にも内部公益通報窓口もかねる必要があり、その点の内部規程の見直しや社内での周知が必要となります。また、部署の役職で従事者を指定することも可能ですが、従事者となる者自身に従事者の地位に就くことを明確に認識させる必要があるため、書面で個別に通知するか、内部規程で明記することが考えられます。
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- 3. 調査
私は、内部通報窓口を担当しているのですが、通報があれば、どんな内容でも必ず調査を行わなければならないのでしょうか。また、匿名の通報の場合は、どのように対応したらいいのでしょうか。
A3-3
通報があれば、正当な理由がない限り、調査を行わなければならないと考えられます。そして、制度の実効性確保のため、匿名の通報でも受理する必要があります 1。そのため、個人が特定できないメールアドレスの利用など、匿名での連絡を可能にする仕組みを導入ことが考えられます。
また、通報者の意向に反しても調査は原則可能ですが、その場合、通報者とのコミュニケーションを十分にとり、プライバシー等の通報者の利益が害されないよう配慮する必要があります。- 詳細はこちら
- 4. 範囲外共有等の禁止
内部通報窓口に通報があり、調査を実施することになったのですが、担当部署だけでは、十分な調査が行えないため、他部署にも協力を依頼する予定です。情報の取り扱いで注意することはありますか。
事業者は、通報者を特定させる事項の共有を最小限にしなければなりません(範囲外共有の禁止 1)。そのため、調査を他部署に依頼することが必要であるとしても、通報者を特定しなければ調査が実施できないという場合を除き、通報者の情報を共有しないようにしなければなりません。共有が必要な場合も、調査担当者にも秘密保持を誓約させるなどの方法が考えられます。
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