法律Q&A

法律Q&A

高齢者・若年者の消費者被害

1. 高齢者や若年者の被害へ対応した消費者契約法の改正

近年、高齢者や若年者の被害を予防・救済するため、消費者契約法の改正があったと聞きましたが、その改正の内容はどのようなものですか。

消費者契約法は、2016年及び2018年にそれぞれ、取り消しうる不当な勧誘行為の追加や、無効となる不当な契約条項の追加等の民事ルールの改正が行われました。その中でも2016年に追加された「過量な内容の消費者契約」の取消権、2018年に追加された事業者の「不安をあおる告知」や「恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用」に対する取消権は、高齢者や若年者が被害に遭いやすい「つけ込み型」の不当勧誘に対応したものとなっています。

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2. 高齢者への過量販売

高齢で認知症気味の母が、数年前から自宅近くの呉服店の営業担当から頻繁に誘われ、年に何回も着物を購入し、ローンの総額が既に500万円を超えて、月々の支払も困難になっています。母は着物を着用する機会もほとんどないので、購入させられた着物は袖も通していない状態です。このような契約は取り消すことができないのでしょうか。

消費者契約法4条4項に定められた、消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知って勧誘したことに該当し、取消しの意思表示をして契約を取り消すことができます。

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3. 若者の不安をあおった勧誘

通っている大学の近くで就職に関するアンケートに答えたところ、後日電話で就職セミナーを運営する塾会社からセミナーへの参加の案内があり、参加しました。セミナー終了後、個室に呼ばれて「ここでウチの就活塾に入塾しなければ就職活動もうまくいかない。後悔する。」等と繰り返し告げられて勧誘されたので、不安になり、入塾の契約をしてしまいました。このような契約は取り消すことができないでしょうか。

消費者契約法4条3項3号に定められた、願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げて勧誘したことに該当し、これによって消費者が困惑して契約しているので、取消しの意思表示をして契約を取り消すことができます。

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4. 高齢者の不安をあおった勧誘

私の父は、高齢になってもの忘れが激しくなり、判断力も低下しています。そのような父が、先日、「投資用マンションを持っていなければ定期収入がないため今のような生活を送ることは困難である」などと不安をあおられ、高額な投資用マンションの購入を勧誘されて契約してしまったようです。このような契約は取り消すことができないでしょうか。

消費者契約法4条3項5号に定められた、消費者が加齢等によりその判断力が著しく低下していることから、生計、健康その他の事項に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げて勧誘したことに該当し、これによって消費者が困惑して契約しているので、取消しの意思表示をして契約を取り消すことができます。

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5. 霊感商法

仕事のことで悩みを抱えていたので、話だけでも聞いてもらおうと思って、雑誌の広告で見た霊能者のところに行きました。悩みを聞いてもらっていると「あなたには悪い霊がついている。このままいくと悩みが取れず、必ず不幸になる。」などと言われました。私はとても不安な状態になり、霊能者から除霊を1体10万円でするよう言われ、了解してしまいました。全部で5体除霊し50万円の契約でした。しかし、よく考えてみると、高額すぎるし脅されて契約したようなものです。返金してもらうことはできますか。

消費者契約法4条3項6号に定められた、合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げて勧誘したことに該当し、これによって消費者が困惑して契約しているので、取消しの意思表示をして契約を取り消すことができます。

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6. デート商法

半年くらい前にSNSで知り合った男性と仲良くなり付き合いだしました。それから2ヶ月くらいして、彼にダイビングスクールへつれて行かれて「ライセンスを取らないか」と誘われました。私はお金も無いし、スクールを受講したいとも思わなかったのですが、彼が強く勧誘するので、断ると彼との関係が悪くなると思い、断れずに契約してしまいました。しかし、ダイビングスクールの契約をした後、彼との連絡が取れなくなり、今思えば彼に騙されて契約してしまったのではないかと思います。このような契約を取り消すことができるでしょうか。

消費者契約法4条3項4号に定められた、消費者が当該消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げて勧誘したことに該当し、これによって消費者が困惑して契約しているので、取消しの意思表示をして契約を取り消すことができます。

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